プロローグの構成が鮮やかだ。
雨降る船の甲板で父と話す15歳のレオン——「なぜこんな危険な場所に来なければならないのか」という素直な問いに、父が「償いでもある」と静かに答える。その「何を償うのか」という問いには答えず、爆発が起きる。
圧倒的なのが父エドワードの描写だ。警報が鳴り響く中、彼だけが「驚いていない」。「やはり来たか」という呟きが、この事件が単純な海賊行為ではないことを予感させる。そして黒いデータチップを息子の手に握らせ「他の誰も信じるな」「真実を知れ」という言葉だけを残して炎の向こうへ歩いていく。
母もまた最後に瓦礫の下で「優しい人になって」と微笑む。二人の退場の仕方があまりに鮮烈で、読み終えた後しばらく胸が痛かった。
「海賊の犯行」とされた世界と、父の表情が残したレオンの疑問。七年後の戦いへと繋がるこの伏線の重さが、続きを読む手を止められない。