恐ろしいのは怪異だけではありません。自分を優先するあまりに、他者へは悪意となって振り掛かっている。しかし当人にその自覚がないのが恐ろしい。この物語はきっと、怪異だけならそこにあっただけで何も始まらなかったかもしれない。けれど彼女の行動の結果が怪異と結び付いた。人間性と怪異は果たしてどちらの方がおそろしいのか考えてしまいました。
現実的な職場の延長から怪異へ侵食していく流れがとても自然で、気づいた時にはもう逃げ場がない構成になっているのが見事でした。 単なるホラーではなく、人間関係や過去の行いが怪異の正体に繋がる展開が印象的で、読後に重い余韻が残る作品でした。