Mark-v

@Suketoudara39

タイトル Mark-v戦車

 私の名は、ステルベン。今日から念願のMark-Vの戦車部隊に配属された。明日にはカンブレーへ向かう。今回の作戦では、多くの戦車が初めて本格的に実戦投入されるらしい。……だから、今日は早く寝ておこう。

**翌朝。**

「起きろー!」小隊長の声に揺り起こされ、まぶたが重いまま身を起こす。奇襲作戦のため、空はまだ暗い。歪む視界を整えようと、私は目をこする。

粗末な朝食を流し込み、熱い紅茶で喉を整える。それから部隊長の短い訓示を聞き、私の相棒――Mark-V戦車ケンプファーへ乗り込んだ。

「行くよ、ケンプファー!」

「はぁ……何言ってるんですか、ステルベン指揮官……」

凸凹の道で車体が揺れ、全員が手すりに掴まりながら、私は作戦内容をもう一度確認する。

「本隊は、ドイツ軍のいるカンブレーを奪取して、そのまま奥でフランス軍と合流する。また、奇襲作戦で戦車が大量投入されていることに気付かれないよう、砲撃での先制攻撃は無しで煙幕を張る。そしてね、今回の作戦の理由は、これからの戦争で大切な補給基地を取るためだよ。そのためにも、ヒンデンブルク線を突破するために戦車部隊が必要なんだ。……みんなの命、私に預けてくれる?」

「「アイアイサー!!」」

「……ありがと。」

狭い車内に、緊張と少しの笑い声が混ざる。エンジンの振動が、作戦の始まりを静かに告げていた。

最前線に着き戦闘が始まる。

「攻撃の開始だよ!」

ドイツ帝国軍が肉薄してくるが、戦車には無力。塹壕を乗り越え、Mark-Vの左右にある多砲塔で塹壕内の敵を一掃する。後退するドイツ軍にも機銃を掃射し、歩兵の道を切り開く。

だが、先日の雨で地面は泥沼化していた。Mark-V戦車のエンジンには欠陥がある。「前方、味方戦車が泥沼に車輪がハマっています。」その時、泥沼にハマった仲間が光とともに散っていく。火に包まれた車内から燃えながら人が出てくる。「きゃ、あぁぁ、また仲間が……」「主よお助けを!」乗員の士気が下がる。「見ちゃだめ!みんな前を見るの!ケンプファーが私たちを守ってくれる!信じて、ついてきて!」

「「イ...イエッサー」」

仲間の瞳に光が戻り、その勢いで敵の野砲陣地や砲撃陣地を潰して回る。順調に見えたが、泥濘にハマってしまった。「左輪が泥濘で止まっています!」野砲がこちらを向く。「2時の方向に野砲!」右輪の砲塔が動く。それでも、野砲の銃身が瞬く。間に合わなかった。死を覚悟する。

ガン……鈍い音がしたが跳弾した。打ち返す。相手は火薬に誘爆し、ヒヤリとしたが助かった。「前進するよ」

「ステルベン指揮官、機関が破損。外からの修理が必要です。」

外はまだ敵だらけ。それでも前進しないと、ここにいる戦車小隊はいつの間にか私たちだけ。そして、砲撃は止まらない。いつ戦車が棺桶になってもおかしくない状況だ。

「修理頼める?」

「分かりました!」

彼女は護衛を付け、颯爽と修理に向かった。外では味方も敵も必死だ。戻ってくる時間が長く感じられる。「早く!」……返事がない。間があったが返ってきた。「エ、エルピダが死にましたー!」

「……はぁ?」理解が追いつかない。彼女が死んだ?最悪だ。やはり出さないほうが良かったのかもしれない。私が行くべきだった……

「ステルベン!」

「ふぇ!」

「今、あなたが指示しなかったなら誰がするの!」

そうだ、私は他の命も預かっているんだ。「お、終わりました」震える声で戻ってきた。でも彼女は戻ってこない。

皆の顔色を見る。「皆、聞いて。エルピダは死んだ。でも彼女の死はここで止めなければ意味がない。だから進むの。行くよ!」

再び、皆の顔色がよくなっていく。約4時間の激闘の末、我々の部隊は奪取目標を確保した。後はフランス軍との合流だけだ。

「本当は小隊の半分以上は残るはずだったけど、私たち単騎でこの山を通り、この街でフランス軍と合流する」

「「了解」」

進軍を進める。人気がなく、霧の濃い森を進む。

「Sturmangriffー!」ドイツ兵の声がする。

「左右から、ドイツ兵が肉薄しています!」

「迎撃して!」

「駄目です!纏わりつかれてます!」

この戦車は、纏わりつかれたら何もできない。車内では銃声が響く。もう……諦めるしかない。

「伝書バトを飛ばすよ...我々戦車小隊は壊滅と...」

「待ってください、まだ終わって……」

ドサッ。訓練生時代の仲間が倒れていく。どこで間違えたのだろう?私たちは頑張ったのに、なぜ他の奴らは死んでいるのか……。

鳩を手に取り、伝書鳩放出扉を開く。どうして、頑張ってきた私たちは死ななければならないのか……

バサッ

end 

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