「よそはよそ!うちはうち!うちの平和はオカンが守る!」——キュアおかんの変身シーン、ベタすぎるのがわかっていても笑ってしまいました。しかもその後、天井を突き破って飛び立ったのに玄関から普通に鍵を使って帰ってくる細部のくだらなさが最高です。
この作品の巧みさは、コメディの皮をかぶりながら、終盤の食卓場面で本物の涙を引き出してくるところにあります。あのオカンが何も言えなくなった瞬間の静けさが、しょっぱい味噌汁と一緒に胸に刺さる。だからこそ「アホいうな、あんたは」という一言でオカンが戻ってきた瞬間の解放感が半端ない。笑いを取り戻すことが、そのまま世界を救う力になる——このテーマの着地が見事でした。
「最後の仕事。」の研ぎ澄まされたダークな短編と同じ作者とは思えない振れ幅で、嗚呼上Q也さんの引き出しの広さに改めて驚かされます。パンツ一丁アナウンサーの締めも含めて、隙がない一作です。