この作品で一番好きなのは、「落語では世界を変えられない」という問いを、最後まで簡単に否定しなかったところ。
ルク自身も言っている。
「村は焼かれるし」
「人は死ぬし」
「戦争も終わらない」
その通りなのだと思う。
落語を聞いたから戦争が終わるわけではない。
笑ったから人が死ななくなるわけでもない。
だからこの物語は、「落語には世界を変える力がある」と単純には言わない。
代わりに、
「それでも、客が一人いるならやる」
というところに落とし込む。
これが、すごく落語的だと思った。
世界を変えられるかどうかではなく、目の前にいる一人を笑わせる。
それを繰り返していく。
落語は語り継ぐもの。
歴史は語り継がれることで形を変えるもの。
そう。生きて、自分の言葉で伝え続けろ。
そんなメッセージを感じました。