あやしや本舗異世界店

相有 枝緖

あやしや本舗

その店は、王都の大通りではなく、いくつかの通りを奥へ進んだ裏にあった。


こぢんまりとした一軒家で、扉には小さく『あやしや本舗』と書かれた看板が下がっている。

看板があれば営業中、無ければ休みだ。


扉には窓がなく、中の様子はうかがえない。

道に面した窓にはカーテンがかかっており、ほんのりと中の空間は感じられるが、やはり中を覗くことはできない。

壁には蔦が這い、入りにくさを助長している。


玄関ポーチの横には小さな花壇があり、花が植えられていた。

知らない人が見ればただの花だが、ある程度の教養がある者ならわかる。

非常にに高価なバラだ。

苗を手に入れるのも一苦労で、貴族のような上流階級であれば、ある種のステータスにもなる花である。


ひっそりとたたずむ店は、裏通りに馴染み切らず、ちぐはぐで怪しい雰囲気を醸し出していた。


それでも噂を聞いて、今日も依頼者がやって来る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る