応援コメント

すべてのエピソードへの応援コメント

  • 文芸部へのご参加、ありがとうございます。
    一歩足を踏み入れた瞬間から、境界線がゆらりと溶けていくような、美しくもどこか静かな不穏さをまとった幻想的な世界観に、深く引き込まれました。

    ■ 全体を読んでの感想
    収録されているお話のどれもが、誰もが知っている「雪の日の石段」や「映画館」「ベッドの上」といった身近な日常から、何の説明もなく不思議な異界へと地続きで繋がっています。
    その世界の移り変わりが、まるで淡い水彩画の絵の具が水に溶けて広がるように滑らかで、美しくもどこか奇妙な浮遊感を覚えました。
    それぞれの登場人物たちが、戸惑いながらもその不思議なルールを受け入れて佇んでいる姿がとても愛おしく、心に静かな余韻を残してくれる素晴らしい読書体験でした。

    ■ お題「異化」の活用について
    本作は、日常の何気ない光景や行為をあえて異なるルールやスケールにすり替えることで、お題である「異化」の持つ魅力を多面的に、そして極めて魅力的に引き出していると感じました。

    ・【日常空間のシームレスな変容と沈黙の異化】
    『彼岸花の池』において、仕事帰りの待ち合わせといういつもの石段から、一輪の花をきっかけに「彼岸花の池」へと迷い込み、さらに「静まり返った電車の客席」へと空間がスライドしていく描写が実に見事です。
    誰一人喋ることなく、膝の上に拳を置いて前を見つめている人々という、日常の電車内のような、けれど決定的に異様な静寂。
    見慣れた移動空間や他人の沈黙という記号を、これほどまでに奇妙で美しい「異界」へと変貌させる筆致は、まさに異化の効果そのものだと感じました。

    ・【神秘的な力と生々しい現実のユーモラスな異化】
    『たぬき』では、境界を潜るというファンタジーの神秘的な能力が、潜りすぎたために「映画館の天井から足だけが飛び出す」という、極めて物理的で不格好な状況として描かれています。
    モップの柄でつつかれたり、スタッフに引っ張り出されたりするという、妙に生活感のある生々しいリアクションが重ねられることで、ファンタジーが日常の手触りへと「異化」され、独自のユーモアと新鮮な違和感を生み出しています。

    ・【身体性と風景のスケールの異化】
    『たまごが割れたあの日へ』では、つま先ほどの高さの木々から叫び声を上げて飛び出す小さな人々を踏まないように歩く男の姿が描かれています。
    歩くというごく普通の行為や、山や木といった自然物のスケールがガラリと歪められ、ガリバーのようになった孤独な男の歩みが、おとぎ話のような不条理さを持って鮮烈に描き出されていました。

    ■ 最後に
    見慣れた世界の裏側にそっと潜り込み、そこに潜む不思議な亀裂を美しい絵の具で描いて見せるような、素晴らしい作品集をありがとうございました。
    また部室にて、あなたの紡ぐ、優しくも奇妙な、愛おしい幻想の物語に出会えるのを、心より楽しみにしております。

    作者からの返信

    とても丁寧なご感想をありがとうございました。

    『彼岸花の池』『たぬき』『たまごが割れたあの日へ』を、それぞれ異なる角度から「異化」として読み取っていただき、とても嬉しく拝読しました。

    特に、日常から異界へ地続きに移ってゆく感覚や、沈黙、身体や風景のスケールのずれまで言葉にしていただき、書いている自分でも改めて作品の持つものに気づかされたように思います。

    『たぬき』の少し可笑しな部分まで丁寧に拾っていただけたことも、とても嬉しかったです。

    「美しくもどこか静かな不穏さ」「優しくも奇妙な、愛おしい幻想」というお言葉も、大切に受け取らせていただきます。

    素敵な企画と、心のこもったご感想を本当にありがとうございました。

    現在は、アルファポリスで別の作品を掲載しているため、この短編集は少しお休みしています。
    いくつか書き溜めておりますので、また参加させていただく機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

  • 【幻想掌編】彼岸花の池への応援コメント

    「彼岸花の池」、拝読しました。石段の途中の“少し待たせちゃえ”という何気ない寄り道から、いつのまにか此岸と彼岸の境目へ滑り込んでいく感覚が、静かで、こわくて、美しかったです。座席に並ぶ無言の人たちの場面で、背筋がひやりとしました。
    一輪の赤い花が一面の彼岸花になり、また一輪に戻る——その円の閉じ方と、最後に“振り向いた”あとの余白が、ずっと残っています。「静けさと余白を大切に」という言葉のとおりの掌編でした。続きも、ゆっくり読ませてください。

    作者からの返信

    応援コメントありがとうございます。
    とても嬉しいです。

    静けさや余白、
    そして、読後に少しざわりと残るものを、
    幻想譚集には少しずつ置いていけたらと思っています。

    非常に短く、1話完結のものが多いですが、
    お時間のある時に読んでいただけたら嬉しいです。