とにかく物語の勢いがすごい!
一度読み始めたら、ジェットコースターに乗せられたように最後まで一気に駆け抜けてしまうハイテンションコメディです。
愛を知らず「誰かに愛されたい」と願う主人公・陸の前に、自称「あくまで☆天使」のミルクが現れた瞬間、空気は一変!
テンポの良い掛け合い、怒涛のメタ展開、次回予告まで全力でふざけ倒すサービス精神……暴走するミルクと振り回され続ける陸のコンビが最高です。
次々と繰り出されるトンデモ展開でシリアスな雰囲気を全力で破壊しながら、毎回予想を超えるカオスへ突き進んでいくテンポの良さは圧巻です。
この二人が最後にどのような答えに辿り着くのか。
是非その目で確かめてみてください!!
主人公の陸は親の事情で本当の愛を知りません。誰にも言えない『願い』を胸の底に沈めたまま、知らないまま大人になってしまった一人の男性。独立した兄たちと生活する中、あくまとも天使ともつかない酔狂な身なりの少女ミルクと出会うところから物語は幕を開けます。
貴方の『願い』を叶えるために、幸せにするためにやってきたと告げるミルク。陸の心を見透かすようにファンシーな言葉遣いはウィットに富み、この子は一体何者なのかと好奇と興味が湧いてきます。
どこか小悪魔チックで人懐っこい天使のミルク。彼女の不思議な魔法のような力で陸は尊いメンズに現実と虚構の世界を交えてオモテナシされるのが本作の大筋な流れとなります。
はじめは動揺し、本心を隠そうとする陸。
自分の心に素直になれないその隙間に、寄り添い近づくミルク。
某アニメの名言を引き合いに出すなどツッコミどころ満載のパンチ力のある発言の数々。でも物事の本質を外していない強かなメッセージが胸に深く刺さる。軽妙な掛け合いから徐々にその心のギャップが縮まり、陸の認識が新たに塗り替えられていく展開はミルクのペースと言えるでしょう。
しかし終盤、そのミルクをも驚かすほどの陸の気持ちに変化が。その変化とは、愛を知らない陸が手に入れたもの。これには胸中温められる心地よい優しさに包まれました。
読み終えてから、この物語で作者様が本当に伝えたかったことは何だろうかと、しばし考えを巡らせました。そしてたどり着いたこたえ――それは無償の愛であると感じました。
それを作者様はあくまで天使のミルクという陽気なキャラを介し、陸に本当に大切なものを気づかせようと巡り合わせたのかなと、僭越ながら私はそのように受け止めました。
人種も国境も、そして歴史でさえも、その垣根を越えて行ける無償の愛。
諍いや戦争を止めることのできる唯一の手段。
どの時代も、どこの国と地域でも、至上となり得るもの。
拡大解釈となり、語弊もありますが、お金でも力でも買えない、その見えない心の豊かさと温かさを教えてくれた気がするのです。
人は一人では生きてゆけません。
必ず誰かの助けを必要とします。
どんな時でも、どんな場所でも、そっと手を差し伸べてくれる存在。
その深意を伝えるためにミルクは陸の前に現れた。
愛を伝えるために。愛のために幸せに生きようと。
そんな愛の本質を教えてくれる素敵な心の物語でした。
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