自分の良さも、なりたい自分もわからず、焦燥感を募らせる汐里。風鈴工房の娘である彼女は、友達の莉沙が風鈴作りに来たのをきっかけに、いつからか避けていた工房に足を踏み入れる。
読み始めてまず、文章がすごく美しいなと思いました。整っている・表現の仕方が素敵という意味でもあるのですが、何よりも心に染み込んでくる感覚的なものが美しかったです。それは文章の端正さや的確な言葉選びがもたらすものでもあると思うのですが、汐里の中でぐるぐるとしている感情や、彼女の心や五感を通した「彼女に見えている世界」が読者にも共有されていたからだと思います。
各シーンでの描写は五感だけでなく、現実感・生活感も伴っていて素晴らしかったです。特に工房での体験のシーンでは、描写の詳細さに驚きました。工房の様子や体験の工程に加え、職人の技術や精神まで伝わってきて、私もその場に立ち、体験に加わっているような気持ちになりました。
なぜ風鈴なのか。なぜ睡蓮なのか。
というのを、私はここで欠片でも語ってしまいたくありません。
この作品においては、描かれていた事に対してのあらゆる感想が「ネタバレ」に繋がってしまうと私は考えます。なので、ここには一切の感想を書くことができないのですが、そのくらい丁寧に、ひとつひとつの描写に意味が込められていました。
この作品の持つメッセージを、そして美しさを。未読の方にはぜひ、実際に読んで感じ取っていただきたいです!
本当に素晴らしい作品でした!
【レビューコンテスト応募】
人生のどこかで「何者かにならなければ」と焦った経験を持つ人は、たくさんいると思う。
そう感じたことがことのあるすべての人に、ぜひ読んでほしい。
カクヨムに案内板があるなら、それを例えば金銭的なもので購入できるのであれば、自腹を切ってそれを購入してこの作品の案内を掲示したい位のテンションになっている自分が今ここにいる。
この小説の素晴らしいところを書き出したらキリがないが、最も素晴らしいと私が感じたのは、ありとあらゆる場面の描写の美しさだ。
特に職人の手仕事の描写は美しく、ガラスに息を吹き込み、内側から絵を描き、音を育てる工程のひとつひとつが、主人公の心の変化と重なっていく。ガラス工芸の知識を並べるだけなら資料を読めば書けるだろう。
しかしこの作品はそうではなく「ガラス」を主人公の心の成長としっかりと結び付けている。
そして何より私が心を打たれたのは、「睡蓮」の意味が明かされる場面だ。
水面を漂っているように見える睡蓮は、本当は見えない場所で深く根を張っている。
その言葉は、自分には何もないと思ってしまうすべての人へのエールのようにも感じられる。
派手な展開で読ませる作品ではない。劇的なエピソードもない。けれど、一ページずつ丁寧に積み重ねられた言葉が、読み終えたあとも、読んだ人たちのそれぞれの心の中で風鈴の音のように優しく響き続けるにちがいない。
タイトルの意味を、ぜひ最後まで読んで受け取ってほしい。読み終えたとき、きっとタイトルの見え方が変わるはずだ。
これも高校生の作品だ。凄すぎる。
【レビューコンテスト応募】させて欲しい。
この感動をいろんな人に伝えたい。