人生のどこかで「何者かにならなければ」と焦った経験を持つ人は、たくさんいると思う。
そう感じたことがことのあるすべての人に、ぜひ読んでほしい。
カクヨムに案内板があるなら、それを例えば金銭的なもので購入できるのであれば、自腹を切ってそれを購入してこの作品の案内を掲示したい位のテンションになっている自分が今ここにいる。
この小説の素晴らしいところを書き出したらキリがないが、最も素晴らしいと私が感じたのは、ありとあらゆる場面の描写の美しさだ。
特に職人の手仕事の描写は美しく、ガラスに息を吹き込み、内側から絵を描き、音を育てる工程のひとつひとつが、主人公の心の変化と重なっていく。ガラス工芸の知識を並べるだけなら資料を読めば書けるだろう。
しかしこの作品はそうではなく「ガラス」を主人公の心の成長としっかりと結び付けている。
そして何より私が心を打たれたのは、「睡蓮」の意味が明かされる場面だ。
水面を漂っているように見える睡蓮は、本当は見えない場所で深く根を張っている。
その言葉は、自分には何もないと思ってしまうすべての人へのエールのようにも感じられる。
派手な展開で読ませる作品ではない。劇的なエピソードもない。けれど、一ページずつ丁寧に積み重ねられた言葉が、読み終えたあとも、読んだ人たちのそれぞれの心の中で風鈴の音のように優しく響き続けるにちがいない。
タイトルの意味を、ぜひ最後まで読んで受け取ってほしい。読み終えたとき、きっとタイトルの見え方が変わるはずだ。
これも高校生の作品だ。凄すぎる。
【レビューコンテスト応募】させて欲しい。
この感動をいろんな人に伝えたい。