このエッセイはディストピアの是非・日本人の主体性について・権力者の暴走といった様々な要素をわかりやすく丁寧に解説した文章です。
簡便に読めて、実はとても深い。
シンプルな内容に思えて、実際は何重にも問題提起を行っている。
主体性の無い日本人の中にありながら主体的に物事を見て判断をしているという面白いエッセイです。
特に白眉なのが、世間一般に騒がれる監視社会をディストピアと定義しつつも、実はもぅ、それ以上のディストピアに生きているだろう? という逆転の発想なんですよね。
個人的にはそこら中に監視カメラ設置は全然OKだと思います。
>独裁国家の悪い部分って独裁者が自分の思想を恣意的に振りかざしすぎること
はとても大切な一文で、これが無い監視社会こそが理想的なディストピアになるのでしょうね。
監視社会の真の問題はカメラでもデータでも何でもなく、権力の暴走である。という本質を突いているのも実に素晴らしいと感じます。
なので、このエッセイを読んでいて思ったのが、監視はあるが恣意性はない社会、が著者の理想のディストピアなのではないか、ということです。
しかし、ここで一つ哲学的な問題が生じます。
恣意性の無い権力は存在できるのか?
そんなことを考えさせられた深いエッセイでした。
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