「鳥籠」に至るまでの、あまりにも残酷でドラマチックな前日譚が明かされる怒涛の展開です。司法の闇に嵌められ、両親からも見捨てられて「毒杯」を煽るエストルードの痛々しいほどの諦念。そして、その瞬間を〈遠見〉で捉えた王太子ユーグフィルの、すべてを投げ打った「狂気的な即時転移」の対比が凄まじく、ページをめくる手が止まりませんでした。
劇的に罪が軽くなるとか、報われるとか、そういう話ではなく、罪を罪として受け入れた上で報われてくれるお話なのかなと思いました。ゆっくり読ませて頂きます。
何もかもを相応しく学び力を発揮できるようになった王太子ユーグフィルと、抑圧された環境で王太子への反逆の牙を剥くよう仕向けられたエストルードを取り巻く、王宮の政治劇。この反逆劇を企てながら決して表に出てこない黒幕に嵌められたエストルードの悲劇。耽美で精巧な筆致で綴られる物語に、ワクワクしております。