青が悲しみへ変わってゆくのではなく、
悲しみが青へ変わってゆく――。
第2回カクヨム短歌賞【ナツガタリ'26】10首連作部門応募作品となります。
上記、概要に書かれていた言葉だけでも、筆者様の鋭さが皆様にお伝わりするかと思います。
私が「青」と言われ真っ先に思い浮かべたのはピカソ、彼の「青の時代」です。友人の自殺をきっかけに、彼は「青い絵」を描き始めます。それは黒ではなく「青」という所に彼の苦悩を感じずにはいれません。
悲しみの蜜が静かに湧いてくる青林檎砕ける夕まぐれ
作品コピーにもご使用され、第一首目に詠まれた歌です。
私は筆者様の作品全体に漂う陰影をすごく感じます、そしてその象徴の様な歌です。
夕間暮れの物悲しさ、ここをひらがなで開く事で暮れという状態をより強調している様に思えます。青林檎が砕けてしまうほどの「悲しみの蜜」、僕らが生きる上で本来消化できる許容量を超えてしまった悲しみは、自分自身を破壊します。この「悲しみの蜜」が、林檎をそもそも「青」に変えていたものと解釈する事で、概要の言葉と繋がります。とても胸にくる短歌だと思います。
作品内の短歌には繰り返し「青」が含まれています。
メドゥーサは微笑みながら変えました絶望をオオイヌノフグリへ
その中で唯一直接的な「青」「蒼」などが含まれない歌、代わりにオオイヌノフグリという可憐な水色の花を詠まれております。
とても切なく感じます。
メドゥーサという魔物だからこそ、この感覚に辿り着くと思います。詳しく解釈を書くなど無粋。このままを皆様に感じて欲しいです。
この10連首の「核」のような存在ではないかと思われました。
本作をお勧め致します。
非常に緻密なバランスの上で、表題通り「青」を表現されている10連首です。
是非、その奥深さをお楽しみ頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します( ;∀;)
【レビューコンテスト応募】
青一色でここまで多彩な世界を立ち上げられることに驚かされる連作です。
青林檎、青潮、蒼いペガサス、緑青、同じ「青」でも一首ごとに意味も温度も変化します。
クローンやメドゥーサ、だいだらぼっちといった異質なモチーフも決して奇抜さだけに終わらず、孤独や喪失が奏でる旋律に戦慄しながらまとまっていきます。
一読では掴みきれない難解さはありますが、その分、何度も読み返すたびに新しい景色が現れる連作であるように感じます。
言葉そのものを絵の具にして描かれた静かで妖しく美しい青のエチュードです。
【レビューコンテスト応募】させてください。