「天鵞絨」という、
耽美性を感じるタイトルに惹かれました。
天鵞絨とは、表面に短い毛羽が密生した、
滑らかで光沢のある織物のことです。
作品には、
歯車、割れた羅針盤、固茹で卵の殻など、
どこか歪んだ美しさをもつものがちりばめられていて、
不完全なものへの愛着さえ感じられるのが魅力的でした。
また、見逃せないのが、その色彩感覚でしょう。
黄金、銀、赤、
目に強いインパクトを与える色が、
この作品を引き締めているのを感じます。
一筋縄ではいかないけれど、
その硬質でミステリアスな詩情に、
読者は目を奪われるに違いありません。
やわらかなハードボイルド短歌集と言えるでしょう。
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