上西沙織を探しています。

名無之権兵衛

1「彼女との出会い」

 友人の上西沙織が消されました。

 行方不明になったわけではありません。行方不明というのは、実在する人物がなんらかの要因で姿を消すことを言います。

 上西沙織は、存在そのものが消されたのです。

 SNSアカウントも、大学の卒業名簿からも、そして戸籍謄本からさえも消されてしまったのです。

 唯一の手がかりは、私の手元にある彼女のマイナンバーカードだけ。

 嘘だと思うなら見てみてください。下のリンク先の近況ノートにマイナンバーの写真を貼りました。

 https://kakuyomu.jp/users/nanashino0313/news/2912051601491568921


 見ていただけましたか。

 おかしな話ですよね。全ての日本国民に発行されるはずのマイナンバーカードはあるのに、全国民の戸籍が記載されている戸籍謄本から名前が亡くなっているなんて。

 このマイナンバーカードは1週間前、彼女から貰い受けたものです。その時は茶封筒に入れられて渡されたので、中にマイナンバーが入っているとはわかりませんでした。

 彼女は、自分がいなくなったらこれを開けてほしいと私に言いました。私はそれを漠然と了承しました。まさかこの中にマイナンバーカードが入っているなど思いもよらずに。

 このとき、私は彼女から別の依頼も受けていました。

 それが、これから公開していく〝ある存在に関わる資料〟です。

 この資料は失踪した彼女の恋人・添嶋悟司を探すために上西沙織が集めたものでした。これを世間に公表して情報を集めて欲しいと、彼女は私に言いました。自分でいうのもおこがましいですが、私はネット小説で生計を立てていたので、白羽の矢が立ったのだと思います。

 しかし、公開するにあたって資料を精査したところ、ある違和感に気づきました。

 その正体を確認するために彼女に連絡しようとしたところ、上西沙織のラインアカウントが消えていることに気づきました。インスタ、ツイッター、他のSNSを確認しても彼女のアカウントは消えていました。

 さらに奇妙なことに、私のスマホに保存されていたはずの上西沙織が写った写真が全て消えていたのです。彼女とは大学のサークルの同期でお互いの家に泊まりにいくほど仲が良く、旅行先ではツーショットをよく撮っていました。だから「全部間違えて消した」なんてあり得ないのです。

 意味がわかりませんでした。

 私は彼女から渡されたあの茶封筒を開けました。そこに、このマイナンバーカード。

 あまりに奇想天外な出来事の連続に、私はこれらの資料を最初は公開しないでおこうと決めました。

 しかし昨日、フォローした覚えのないインスタグラムの鍵アカウントに投稿されたストーリーを見て、私は決心せざるを得ませんでした。


 私は、これから彼女に渡された資料を公開していきます。


 資料は以下の4つです。


・ほぼ同時に3地点に現れたひき逃げ犯

・発掘された発売前のアイフォン

・3000年以上前から来た行旅死亡人

・2月31日の新聞


 これらを公開したのちに、私が感じた違和感についてお話ししたいと思います。

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