題名と設定の強烈さに、まず息を呑みました。
「愛は早い者勝ちです」
この言葉に、笑うより先にぞっとします。
恋愛も性愛も国家に査定され、心拍数や皮膚温度までポイントと減税へ換算される。
荒唐無稽なはずなのに、お役所言葉や効率至上主義、私たちにも馴染み深い制度が組み合わさることで、決して遠い未来とは思えないところが恐ろしいのです。
さらに、この社会を、制度を淡々と運用する役人・佐藤の視点から描く着眼が面白く、狂った仕組みが「日常の業務」として処理されていく不気味さを際立たせています。
読みながら、何度も考えました。
数値は身体の反応を測れても、その人の心まで「本物」と認定できるのだろうか。
正しい愛を定めようとするほど、愛も人間も壊れていく。
その矛盾を、容赦のない鋭さで真正面から描き切る筆力に圧倒されました。
きつい。けれど、目を逸らせない。
過激な設定の奥に、人間の尊厳を手放すまいとする切実さが脈打つ、鋭いディストピア作品です。