第1話「1.7秒の声」の冒頭の静けさが、この作品の全てを物語っている。
放課後の旧無線室で一人、受信機の前に座る瀬戸理央。祖父からもらったコールサインのキーホルダーをしおり代わりに、三冊目のノートに記録を続けている——この描写だけで、主人公が何を大切にしているかが伝わってくる。
そこに届く1.7秒の声。「前後がない。呼び出しも応答もない」——その声の違和感を冷静に記録していく理央の手つきが丁寧で、静かに鼓動が速くなっていく。
直後に現れる白瀬渚沙の声が、録音の中の声と重なる瞬間の余韻が、すさまじい。
解くべき事件ではなく、少し世界がずれる放課後の日常。その空気が第1話から完璧に醸し出されている。