十年にわたって街を守り続けた『英雄』フローラルピンクが、魔力の衰えとともに少しずつ自分の居場所を失っていく姿が印象的でした。特に、魔法少女を辞めれば十五年間の記憶を失ってしまうという設定が、単なる「引退」の問題ではなく、彼女自身の人生そのものを失う選択になっているのが面白いです。そんな彼女の前に現れた謎の招待状が、「魔法少女を辞めても力を持ち続ける」という新たな可能性を提示してくることで、今後の展開への期待が一気に高まりました。
そして最後に登場した怪人たちも、単純な敵ではなく、滅びを防ぐために自ら人間の姿を捨てた存在だと分かるのが魅力的です。『英雄』であり続けることに限界を感じているナガレと、人間であることを捨ててまで戦い続ける怪人たちが、これからどのような形で交わっていくのかが非常に気になります。王道の魔法少女ものを土台にしながら、「英雄とは何か」「守るために何を捨てられるのか」というテーマへ発展していきそうな作品だと感じました。
本作は、これまで街や大切な人々を守るためにボロボロになりながら戦ってきた「英雄」が、限界を迎えて敵である怪人側へと身を落とすという重厚なドラマを紡ぐ一作となっています。
自分が手放した「正義」を受け継ぎ、自分を倒すべき敵として追ってくる可愛い後輩魔法少女たちとの複雑な関係性が、作品の奥行を作り、読み手として、スリリングを感じます。
さらに、作者様の手腕として、バトル描写の迫力です。
魔法少女の華やかさと、怪人の禍々しさが激突するバトルシーンは、構成と筆力の高さ、そして何よりも熱量があふれ出しています。
その対比として、後輩との闘いという心理描写は、切なさを演出できており、ただの勧善懲悪の物語ではないことを突き付けてきます。
限界を迎えたかつての英雄が、残された可愛い後輩魔法少女たちを守るためにあえて最強の怪人へと身を堕とす、切なくも熱い闇堕ちダークヒーローファンタジー。
設定に感性を刺激された方は、是非一度お読みください。
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