アフリカ東部で生まれた青年ヤスフェは故郷を離れ、日本へ渡り織田信長との出会いを果たし「弥助」として生きていく。
史実とフィクションが織り混ざる本作ですが、序盤から丁寧な説明と描写によって一気に引き込まれ、まるで当時の様子をすぐそばで感じるような臨場感がありました。
全体として読みやすく、大河ドラマのような映像が頭に浮かびながら読んでいました。
信長像の演出や性格描写も見事で、歴史小説としての完成度は高く、導入から一気に読ませる力があります。
個人的に歴史が好きなこともあり、イエズス会のことなどとても興味深く感じました。
同時にフィクションとしての要素も柔軟性があり、これらが史実とどのように絡んでくるのかも一つの見どころです。
「日本しか知らない信長」と「世界を知る弥助」の対比も面白く、蘭丸を交えた掛け合いには温かみもあり、読み応えも抜群です。
歴史が好きな人はもちろんのこと、質の高い読書を楽しみたい人には特にオススメの作品です。
名作です。
地の文多めなのにスラスラと頭に入ってくる文章は、作者によって計算尽くされた結果なのでしょう。
読み始めてすぐ、「戦国時代にタイムスリップしてしまった――」そんなふうに錯覚してしまうほどの臨場感。そういった作風にはなかなか巡り合えるものではないです。
登場人物は歴史上の偉人ばかりで無数の作者によって書き尽くされた『個性』をすでに持っています。それを余すことなく表現し、目の肥えた読者でも納得できるキャラクターとして登場するので、戦国時代の世界観を壊すことがありません。
そして、主人公の個性。数ある戦国時代のヒーローと一線を画した彼の生きざまは、まさに新たな戦国ヒーロー誕生を感じさせるものでした。
かつて、前田慶次が突如現れた戦国の新ヒーローであったように、弥助も戦国の新ヒーローとなり得る逸材。この作品が彼を変えるかもしれません。
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信長公記にも記載され、様々な歴史小説などでも採り上げられる信長の小姓、弥助。
ただ、信長公記でもそれ以外の文書でも、『存在した』ということ以外何も分からず、私も記述を見て「へ~」と関心を持つものの、すぐに気にならなくなっていました。
その弥助をアフリカ時代から記した歴史小説でした。
戦国時代の日本人の体格の中に、六尺二分(182cmくらい)の体格で十人力の怪力の黒人。
それは目立つ存在だったと思います。
そんな弥助と著名な武将を始めとする有名な人物の交流が自然に描かれ、歴史の動きと弥助の内面が浮き彫りになっています。
読みやすくて情景描写が脳裏に浮かぶ、見事な歴史物語だと思います!!