第一話の主人公・樹のキャラクター設計が見事だ。「山で暮らしたい」「ヤギを飼ってパンを焼いて昼寝がしたい」という欲求だけでゲームを始め、スキル選択も農業と料理を即決する。迷いがなくて、清々しい。
短文を積み重ねるスタイルの文体が、主人公のシンプルな思考回路と見事に一致している。余分なものをそぎ落とした文章が、この作品のスローライフらしさをそのまま体現していた。
「最強になりたいわけじゃない。ランキングにも興味はない」という宣言が、VRMMOのお約束を気持ちよく裏切っていて、読んでいて思わず笑顔になった。タイトルの「なぜか神獣と伝説ばかり集まってくる」との対比が楽しみだ。