企画への参加ありがとうございます。
「先生」と「わたし」の距離感が、とても静かで美しい作品でした。
エレベーター、カレーうどん、蝉の声、にわか雨、研究会、石畳、空の青さ。
何気ない会話や偶然の再会が、すぐには意味を持たないまま残っていて、それが時間を経て、少しずつ一本の線になっていく構成がとても良かったです。
研究や講義、文献、翻訳、学会といった要素も、知識の説明ではなく、人と人が何かを受け渡していくものとして描かれていて、作者さんの書き方の丁寧さを感じました。
恋愛とも師弟関係とも言い切れない、名前をつけきれない関係の余白が心地よかったです。
忘れたはずの言葉が、何年も経ってから意味を持つ。
そんな静かな時間の重なりが、読後にやわらかく残る作品でした。