本作の最大の魅力は、テーブルを挟んだ男二人の緻密でテンポの良い会話とその間に挟まれるリアルな情景乗車にあります。
まるでクエンティン・タランティーノ監督の映画『パルプ・フィクション』のダイナーでのシーンのように、居酒屋での何気ないやり取りから、登場人物たちの人生の歪みや本質が徐々に浮き彫りになっていく構成が見事です。お通しのきんぴらや、呼び鈴で忙しなく駆け回る若い店員といったリアルで日常的な情景描写が、男たちが抱える「自己責任」や「責任転嫁」といった重苦しい内面との見事なコントラストを生み出していきます。
ただし、これはこの物語のほんの一部でしかありません。中盤から、別の側面が出てきます。
「俺」と「友人」の会話が、いつの間にか「友人」と「俺」のサスペンスとなり、読んでいる側は不思議な感覚を覚えます。
そして、これが作者が仕掛けたトリックだったと気づく終盤。
鳥肌が立ちました。