【選評6】『黒い髪の人魚』小田島匠 様
≪エントリーNo.8≫
【作品名】黒い髪の人魚
【作者名】小田島匠
【作品へのリンク】https://kakuyomu.jp/works/16818093093262499473
【ジャンル】恋愛 【完結済】4,724文字
【セルフレイティング】性描写有り
【公開日】2025年2月2日 17:08
【ありす選評】要
チュンチュンって名前が……いやもうこれは狙っているとしか……(笑)。
二人の男女がイチャイチャする話……と思いきや、別れる前のひとときを惜しむ夜、でした。
2シーン目で、やたらチュンチュンが過去形をつかってくるなぁ~と思っていたら、そういうことだったのですね。
夜の学校でプールに入る、という設定が面白かったです。
入っちゃだめな場所にこっそり入るってだけで、わくわくしてきますよね~!
学校のプールって、汚いイメージがあるけど、夏の間だけは、水泳の授業があるから綺麗なんですよね。
タダだし、いいじゃん! 私も入りたい!
……とか、ちょっと思っちゃったよ(* ´Д⊂
(※よい子は、真似しないでね。)
ここでちょっと現実的な話をすると、最近は、学校のプール自体が廃止になるところが多くなっていて、近所のスポーツクラブのプールを授業で使うんですよ~。
泳ぎ方は、学校の先生じゃなくて、スポーツクラブのコーチに教えてもらいます。
なので、学校のプールは水が張っていない。悲しいかな……。
タイトルにもあるように、夜のプールで泳ぐ人魚……もとい美女。めちゃくちゃ絵になりますね~。
「人魚」「夜明け」「別れ」のモチーフが美しく、作品全体を象徴する締めになっているのがよかったです。
一方、その感動を支える物語上の積み重ねがやや不足しているため、終盤の切なさが読者によっては十分に伝わりにくい可能性があるなと思いました。
会話劇っていうのかなぁ……。
会話自体は、登場人物の性格がわかるし、自然なかけあいになっていると思います。ただ、個人的には、もう少し地の文での心理描写や情景描写があったほうが、小説ならではの余韻が生まれて、より物語に入り込めたかなと感じます。
例えば、会話文の語尾「(笑)」は、地の文で「くすっと笑った」とか「にやりと口角をあげた」という描写で補足してくれたほうが、どういう笑い方なのか、その言葉のニュアンスや空気感が読者に伝わります。
「(笑)」は、笑ったんだな、という情報しか読者に伝わりません。
そういった空気を体感できるのも、小説としての醍醐味だと思うんですよね。
あとは、どうして二人が別れなければいけなかったのか、その背景と理由が書かれていないので、どうも一歩、感情移入することができませんでした。
遠距離恋愛でもいいわけじゃないですか。
そこを「何度も話し合っただろ」だけで簡素に終わらせてしまっているのが、少しもったいなかったです。
いかがでしょうか?
もし、こちらの内容をnoteへ掲載しても差し支えなければ、コメントで教えていただけると助かります。
ご不快に思われましたら、当記事を取り下げもさせていただきます。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
🌟以下は、他の審査員たちからの選評コメントです。
▼審査員:花沫雪月▼
こちら
別れ話だったの!?
ってなりましたなぁ。
▼審査員:遠藤孝祐▼
若い頃は二人でただ体を重ねる時間が大事で、勉強なんかよりも貪ってしまう気持ちはわかるなあ(なお、そんな思い出はない)と思いながら読み進めました。
際立っていたのは、プールに入ってからの別れ話だとわかった時に、物語のトーンが一変したところです。少し地の文に厚みが出ただけで、効果的なメリハリを生み出していたのはとても印象的でした。
惜しい点は、もう少し詳細があった方が、きちんと正しく裏を想像できるところかと。想像に任せる部分の情報調整がもう少しあると、さらに没入させられたんだろうなと感じました。
▼審査員:虹うた🌈▼
恋人たちの時間を、とても丁寧に描いた大人の恋愛小説でした。
「最後の夜を二人はどう過ごすのか」という一点にじっくりと向き合い、そのかけがえのない時間を静かに見せてくれます。
私が特に好きだったのは、タイトルの意味がわかる場面ですね。
黒髪をなびかせながら泳ぐチュンチュンの姿が、人魚のように映る描写は本当に美しかったです。
幻想の人魚ではなく、大切な恋人だからこそ人魚に見えた――そんな表現が、この恋の儚さをより印象深いものにしていたように思います。
また、チュンチュンが中国人留学生であることにも、きちんと意味がありました。異国で感じる孤独や偏見、そして主人公との出会いが重なり合うことで、この物語は恋愛だけでは終わらない温かさと切なさを持っています。
私も留学経験がありますので、彼女が抱えていた想いには重なる部分がありました。
一方で、終盤は登場人物の気持ちが言葉ではっきり語られる場面が多かったので、少しだけ読者に想像を委ねる余白があれば、余韻はさらに深まったかもしれません。
それでも、この作品の一番の魅力は、夏の終わりの少し湿った空気と、終わってしまう恋の切なさが自然と重なり合っていることだと思います。
景色や空気、そして心の揺れを丁寧に積み重ねていくからこそ、「黒い髪の人魚」というタイトルが読み終えたあとも静かに胸に残る、余韻の美しい物語でした。
***
審査員の皆様、コメントありがとうございました。
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