日常が突如として地獄へ変わる恐怖を、五感に訴えかける生々しい描写で活写した本作。
ドローンの不気味な駆動音、喉を焼く硝煙の臭い、SNSで見たことのある遠かった筈の凄惨な未来への恐怖が、読者を一気に戦禍の渦中へと引きずり込みます。
本作の本質は、終盤に描かれる「戦争の終わり方」にあります。
市民が極限の絶望に達した瞬間、あまりにもあっけなく告げられる『戦争終結』。
大義も理由もわからぬまま翻弄され、傷跡だけを遺される人々の姿は、戦争が一部の権力者が始めるもので市民からしたら「戦争ゲーム(ガチャ)」に過ぎないという現代の歪んだ構造を痛烈に批判しています。
この、ラストの警鐘が、フィクションの枠を超えて今の不安定な情勢、冷徹に胸に突き刺さる、今まさに読まれるべき一編だと思いました。