第2話 中央 1

 「俺、向いていないのかなあ」


 思わず呟いたその言葉に、隣の同期たちは答えた。


「そうだな!」


「ああ!お前は全く向いてない!」


「なぜなら!そう!筋肉が足りないからだ!」


「そうだぜブラザー!お前には圧倒的に筋肉が足りない!」


「我等、純粋な地の民と比べて!お前には筋肉!SO!マッスル!が!」


「足りない!」


 ガハハハハと大笑いする2人に対して、俺は乾いた笑いしか出なかった。


「俺たちは地の女神様の敬虔な信徒だからな!女神様の祝福で筋肉モリモリ!体のデカさもモーリモリだ!我ら中央兵団の前線部隊は筋肉でできているようなものだからな!!!」


「その点お前にゃあ女神様へのお祈りが、ちと足りなかったんじゃねえか?」


「だがよう、そんなことは気にすんな!お前は確かに筋肉は足りねえが、体のデカさは大して変わらん。」


「ああ、それに武器の扱いなんかはお前に敵う奴はいねえよ、テキザイテキショ?ってやつだ」


 はっきりとものを言う奴らだから謙遜とかではないのだろう、本気で慰めてくれていることはわかる。


 だからこそ自分の不甲斐なさや、身体能力の劣等感を拭えなかった。俺はそれを飲み込むように一気に酒を煽った。


「お!イケるじゃねえか!呑め呑め!嫌なことは呑んで忘れろ!」


「そうだぜ!切り替えて明日を迎える!そして元気にお仕事をするのは、俺たち、いや一人前の大人にゃ大事なことだぜ!」


 痛いぐらいに、背中を叩きながら2人は笑っている。


 そうだな、少なくともこうして理解してくれる友人はいるんだ。明日に備えよう。



「ああ、少し気弱になっていたよ。ありがとな」


「おう気にすんな!また明日な!」


 酒代を払って2人より先に俺は店を出た。


 もう深夜だと言うのに宿舎への帰り道は明るい。


 どの店もまだまだ盛り上がっている。


 田舎の故郷ではあり得ない光景だ。


 そもそも人里離れた我が家では、夜に家から出たら目の前はもう闇だった。


 そんな都会の喧騒と、あの人に憧れてこの街に来たのだ。


 夢を抱いて家を飛び出したんだ、こんなことではいけない。


 頭を振って両手で自らの両頬に気合いを入れた。

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