これまでの話の中でも、かなり苦い読後感を残す一編でした。きよしさんは終始「家長」としての理屈を手放せないのに、最後に失うのが、実は人生でいちばん大切だったはずの妻との記憶というのがあまりにも切ないですね。「名前を呼ぼうとして……思い出せなかった」という一文は静かなのに強烈で、対価とは何か、この世界の厳しさを改めて感じました。そして最後、渡守が「心から願う事は出来なかった」と迷いを見せ、「先輩に怒られちゃいますかね」と呟く締めも印象的です。人を送り続ける役目だからこそ生まれる葛藤が、渡守という存在をより立体的にしているように思いました。
作者からの返信
このお話は投稿するのが怖かったお話です。
嫌な気持ちになると思うので、せっかく読んでくださってる方が嫌になるんじゃないかと不安でした。
でも、そんな終わりも無いと嘘になってしまうと思って投稿しました。
渡守を立体的に感じてくださってホッとしています。
余談ですが、きよしが奥さんの名前を思い出せなかったのは、対価として取られたからか、長い時間蔑ろにしてきたせいで咄嗟に名前が出てこなかったのか、どちらとも取れるように書きたかった裏話があったりします。
後味のわるいお話、大好きなのでたいへん興味深く拝読させていただきました…!(めちゃくちゃ好みです、ありがとうございます!)
作者さんは、心があたたまる切なくも優しい物語を書かれるのが得意だと勝手ながら感じていたのですが、こういう傾向のお話も執筆されるとは…!幅が広くて尊敬いたします…!!そしてちゃんと全部面白くて凄い。
きよしのこと、好きにはなれませんが、嫌いにもなりきれず……
彼は夫としても父親としても最悪の部類に入ってしまう人間ではありましたが、記憶が消えるのは嫌だったんですね……わずかにでも、愛情は残っていたんでしょうか。
作者からの返信
ぉ、おお〜!!
後味悪いお話、お好きでしたか!!
私はせっかく読んでくださる方が嫌な気持ちになるのはいかがなものかとハラハラしながら投稿していました。
後味の悪いお話が好きな方から見て、好みと言っていただけたなら本当に良かったです!ホッとしました!
お話の振り幅についても褒めていただいて小躍りしています。
ありがとうございます😭