第10話 狙われた神崎玲司

「神崎玲司も消せ」




佐伯の命令。




その言葉は静かだった。




だが。




確実な殺意が込められていた。




藤堂健吾は電話を握りしめる。




「本気ですか?」




『もちろんだ』




佐伯は笑う。




『あいつは危険だ』




「ただの新人ですよ」




『だから危険なんだ』




藤堂は黙る。




佐伯の勘は鋭い。




そして外れない。




『黒崎は気付いている』




『高城も気付いている』




『レイナもだ』




『神崎玲司は予想外の存在になる』




電話が切れた。




藤堂はため息をつく。




そして決断した。




神崎玲司を始末する。




その頃。




玲司は何も知らなかった。






珍しく休日だった。




コンビニで弁当を買う。




缶コーヒーを飲む。




アパートへ帰る。




少し前まで夢だった生活。




普通の生活。




それを噛み締めていた。




「平和だなぁ」




思わず呟く。




その瞬間。




嫌な予感がした。




背中。




誰かに見られている。




玲司は振り返る。




誰もいない。




気のせいか。




そう思った。




だが違った。




建物の影。




車の中。




遠くの歩道。




複数の男たちが玲司を監視していた。




東城グループ。




佐伯の部下たち。




「確認完了」




「対象は単独」




「指示を待つ」




無線が飛ぶ。




狩りが始まろうとしていた。




その日の夜。




玲司のスマホが鳴る。




レイナだった。




「今どこ?」




開口一番だった。




「アパートですけど」




「今すぐ出て」




玲司は固まる。




「え?」




「説明してる時間がない」




「今すぐ外へ出て」




その声。




本気だった。




玲司は急いで部屋を飛び出す。




階段を下りる。




外へ出る。




次の瞬間だった。




ドォォン!!




爆音。




衝撃。




玲司の部屋の窓ガラスが砕け散った。




「なっ……!?」




玲司は凍り付く。




もし。




数秒遅れていたら。




まだ部屋にいたら。




死んでいた。




「車に乗れ!」




レイナだった。




黒い車が急停止する。




玲司は飛び乗る。




同時に。




後方から車が現れた。




一台。




二台。




三台。




猛スピード。




完全に追ってきている。




「嘘だろ……」




玲司の顔が青ざめる。




レイナはハンドルを握る。




「東城の連中よ」




「俺?」




「あなた」




即答だった。




玲司は頭を抱える。




借金まみれだった男が。




なぜ命を狙われる。




人生がおかしい。




後方。




車が迫る。




一台が並ぶ。




窓が開く。




男が顔を出す。




そして。




笑った。




「見つけたぞ」




玲司の背筋に寒気が走る。




レイナがアクセルを踏み込む。




エンジンが唸る。




夜の街を。




二台の車が駆け抜ける。




逃走劇が始まった。




そして。




神崎玲司は初めて理解する。


♦︎


裏社会とは。




本当に命懸けの世界なのだと。




――第10話 完




――次回予告――


【第11話 逃走】


東城グループの追撃。


レイナとの命懸けの逃走。


そして神崎玲司は、自分が狙われる本当の理由を知る――。




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感想やコメントもお待ちしています。


神崎玲司の物語は、まだ始まったばかりだ。

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