プロローグの密度に圧倒された。
自然側にも機械管理側にも属せない「未知の回路配列」を持つ赤子を守りながら最下層へ叩き落とされる母親——その一連の中で最も恐ろしいのが、里の人々の「善意」だというのがたまらなかった。
正しいと確信する純粋な敬虔さが集合して、暴力になる。「誰の命令でもなかった。善意だった」という一文が、特に刺さる。
大企業の治安維持組織も、保身と恐怖から殺すという点では里の者たちと同じ調で描かれる。「自然の理」か「機械の秩序」か、言葉は違えど行き着く先は同じ——この対比構造が投げかける問いが重い。
最下層の縦穴へ落とされる寸前、赤子の未知の回路が微かな光を放ち始める——そのラストの一文だけで、続きを読まずにいられなくなる。プロローグ一話だけでこの作品が言わんとすることの重さを、丸ごと伝えてくる。