告白の現場をたまたま目撃した久住。告白された女子・瀬川は嬉しそうな表情を見せたのだが、次の瞬間「罰ゲーム成功!」の声と共に複数の笑い声があがった。嘘の告白だったのだ。ここで俺が出ていっても面倒になるだけ。そうやって見なかったことにしようとした久住だったが、自販機の前でばったり瀬川と出会う。慰め方を知らない彼は、彼女に温かい缶コーヒーを渡すのだった。
客観的な事実としては、缶コーヒーを渡した「だけ」。でも瀬川にとっては「だけ」じゃなかったし、久住にとっても色々と考え、彼女を思いやった末の「だけ」。そんな二人のやり取りがとても真摯であたたかいと感じました。
久住は瀬川の表情や些細な動作をよく見ています。彼女の心に目を向けているのです。その上で変に背伸びした言動をとらず、自分にできる中での最良を考えて選んでいるのが良いなと思いました。彼は瀬川と関わる中で、時に自分の心にも目を向けることになります。
瀬川は久住と関わる中で、自分の心に向き合い、背中を押されます。自分はどう感じたのか、どうしたいのか。きちんと考えて、言葉にできることは言葉にして、何を選ぶのか自分で決めていきます。また、飲み物の好みをはじめとした久住のことも少しずつ知っていきます。
全部はわからないけど、それでいい。ちゃんと言葉にはできないけど、今はそのくらいがちょうどいい。一人では無理でも、二人でなら曖昧なものを曖昧なまま受け入れ、徐々に進んでいける。そんな空気がとても心地良いです。
照れながらもゆっくり距離が縮まっていく二人が可愛いです。見守っていたくなります。果たして、「嫌いじゃない」を「好き」と言う日は来るのか。来なくても、それはそれで二人らしいなと思います。
嘘告によって生じた苦さ。でもそれをきっかけとした温かさ、甘さで二人が幸せになれますように。
(※第16話までを読んでのレビューです)
【レビューコンテスト応募】