第15話 オタク的本能

その瞬間、俺の脳内には「HAPPY END」の文字が、黄金のパーティクルをこれでもかと撒き散らしながら、特大サイズで浮かび上がった。


「御意! いくらでも付き合わせてもらいます!!」


「ふふ、いい返事ね」


俺は愛おしい人を再び、今度は二度と


何があっても離さないという決意を込めて、強く、深く抱き寄せた。


「ん……」


俺の腕の中で、リリアーヌが小さな、甘い吐息を漏らす。


その湿った音だけで、俺の鼓動がドラムのように跳ね上がるのを必死で抑えながら


俺はもう一度、愛してやまない彼女の顔を覗き込むように視線を落とした。


至近距離で見る彼女は、月の光を透過させるほどに肌が白く、まるで彫刻のように整っていて。


けれど、その薄紅色に強く染まった頬や、熱を帯びて少し潤んだ瞳が


これが作り物のゲームキャラじゃない、リアルな温もりを持った女性であることを感じさせていて。


(ああ……神様……ありがとう…………。この景色を見るために、俺は二度目の生を受けたんだな……)


俺は今さらのように、自分が異世界転生した最大の幸運に感謝していた。


もちろん、一番の目的はリリアーヌを処刑から救い


彼女を幸せにするためだけど、結果的に彼女の隣に立ち、独占できる自分がここにいる。


これ以上の幸福が、この世界のどこにあるだろうか。


「リリアーヌ……愛してる」


思わず、魂の底から洩れた言葉に、彼女は「ふふっ」と小さく笑った後、少しだけ悪戯っぽく唇を尖らせた。


「そんな言葉じゃ足りないわ、もっと何かあるでしょう?」


挑発的な笑みなのに、どこか「もっと私を求めて」と期待しているような、潤んだ眼差し。


その妖艶さに、俺の心臓はさらに激しく打ち鳴らされる。


「え……それは……」


言葉を返そうとした瞬間、視線がどうしても、ナイトドレスの胸元……


リリアーヌのプリンのように柔らかな曲線を描く胸元に吸い寄せられてしまい、


「ど、どこ見てるのよバカ!!」


「ごっごめん、つい!」


真っ赤になってポカポカ殴ってくる、その感触さえも今はたまらなく愛おしい。


リリアーヌ処刑回避RTA。


これにて、文句なしのパーフェクト・トゥルー・クリアだ。


だが、完全無欠のハッピーエンドの夜は、まだ始まったばかり。


ここからが本当の、終わりなき幸福のスタートラインなんだと実感しながら


俺たちの物語は、甘やかな夜の闇に溶け込み、永遠に続いていくのであった。

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