まず、その綴られた文章に驚かされました。一つ一つがまるで詩の様に印象深く、一つの文章が次の文章へと誘うかの様に導いていく感覚。これは天性の物ですね。カクヨムで同じく作品を投稿している身として、羨ましさのあまり頭がどうかなってしまいそうです。頭パーン! あなた、頭パーンですよ!
架空の町、おそらくドイツの片田舎をモデルにした長閑な雰囲気を舞台に、教会の尖塔に吊り下げられた鐘に纏わる物語が、優しくも何処か遠い処を語る様な淡々とした口調で語られて行きます。それ迄二つしか鐘の無かった町に、新しく据えられた三つ目の鐘(教会の鐘は三つがデフォなのですね、知らなかった……)。三つの鐘は仲睦まじく、調和に満ちた調べを町に齎して……。
けれども幸せな時間は、争いの渦に巻き込まれ、やがて三つの内二つの鐘が戦争の道具として徴収され、町自体も争いの中離散してしまい……。
其処からの再生の物語は、読む者をして感涙に耽る事間違いなしの展開です。今の時代において、此処まで格調高く優しさに満ちたお話を読む事が出来るとは思いませんでした。作者様に大感謝! です。
皆さんも是非一読する事をお勧めします。小さな、けれども掛け替えのない確かな想いは、時代も場所も超えて伝えられて行くのだという事を思い出させてくれる素敵な作品です。