本作は叙情的な物語を抑制された語り口で淡々と描く短編である。
本編を貫くのは〝飴〟
美しさ象徴する、硬く甘く透き通った菓子だ。
幼少期、飴細工の金魚に魅了された康雄は飴職人を志す。
修行に入る康雄。
作中に彼の心理描写は少ない。
寡黙に職人として、コツコツと努力を積み重ねる。
そんな姿が淡々と描かれているだけだ。
読む者は真面目に仕事に努める彼を温かく見守りながら物語を読み進めることだろう。
その景色が一転する描写を読んだ瞬間。
書かれていたすべてが、ぐるりと回る。
金魚の食紅の赤。
りんご飴の構造。
すべてが不穏に繋がる。
結末の露骨なまでの語らなさ。
それが、怖さとなる。
本作は、甘さがいつまでも舌に残るような美しい余韻を持つ傑作である。
文芸作品としての完成度さえ高い。
読まない選択は勿体ない。
切にそう思う。
極上の耽美があなたを待っています。
もう本当に! たまらんです。
個人的に、この作者さまには定期的に(?)「こういう言い回し自分でもしたかった!」とか「自分でもこんなことが書けたらなぁ」とか「なーんでこんなこと思いつくんだろう」と思わされるのですが、今回は「まさにこういうの書きたかった!」でした。新しいの出てきました。
もうほんっと……。……いえ、あまり騒いでもいけないので、深呼吸しますね。
さて、美に耽るような作品はお好きですか?
ちょっと、くらい感じがして、どこか湿っぽくて、哀愁がただよってて、主人公が盲目的な作品。
「好き」でしたらまっすぐ本篇へ、「どうなんだろう?」と悩まれたなら、どうぞ本篇へ。
──極上の耽美が、あなたを待っています。
「本物よりも美しく見えた」のキャッチコピーが、いくつもの意味を持つ、極上の耽美が。