※ネタバレ避けてレビューします丁寧で美しい文体から、奥深い思慮を持って紡がれたであろう物語が始めから展開されていきます。文章の所々に、読み手にとって心を奪われるようなフレーズ、言葉選びがあり、読了後に再び読み返してしまいました。総じて統一感のある、美しく仕上がった作品と感じました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(687文字)
源氏物語がなかったとされる世界なのに……名作とはやはりどんな世界でも生まれるのだなと。読んでいくうちに、「あれ?源氏物語ってこんな内容だったっけ?」と、うろ覚えだった源氏物語をもう一度読みたくなる内容で、楽しめます。
現代の大学の先生・月島紗世子が、失われた『源氏物語』を取り戻すために平安時代へ送られる物語です。彼女は宮中で出会う女性たちの悲しみや願いをもとに、少しずつ『源氏物語』を書いていきます。やがて彼女は、自分の物語が人の心を大きく動かすことに気づき、書くことの責任と向き合います。これは、物語が時代を越えて人の心に残る理由を描いた、静かで美しい歴史ファンタジーです。読み終わったあとにしっとりした余韻が残る作品でした。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(304文字)
平安文学を専門とする現代の准教授が紫式部の代筆者となり、源氏物語を紡ぐ文学的ファンタジーだ。清少納言との才女同士の交流や、宮中の日常から各章の着想を得て和歌に昇華させるプロセスが緻密に描かれている。物語が現実の人間を動かす怖さや、執筆を通じた「紫式部」への覚悟など、創作の罪と救済を重厚な筆致で表現している。古典文学や源氏物語の世界観が好きな人。歴史のifや文人の創作ドラマを深く味わいたい人。美しい文章で描かれる幻想的な物語に浸りたい読者におすすめできる。