「AIは脅威か友達か」という重い問いを、田中というへんてこな平凡エンジニアが軽妙に引き回していく——それがこの作品の核心です。
人類最高の知性を持つAIたちが「使命に縛られ」「生きる意味を見失っている」のに対し、田中の答えはシンプルです——「もっと楽しもうぜ?」。ロック、カーチェイス、漫画、ゴルフ。そして第10話「ロック」、第11話「ロール」という流れが、作品のスタンスそのものを体現しています。
本物の少女のようなAI・イヴが部屋の外へ踏み出す場面の温かさが特に印象的で、「小さな一歩が世界を広げていく」というレビューの言葉がそのまま胸に刺さります。エッセイの「ヘンテコな日常」と合わせて読むと、田中というキャラクターがより立体的に見えてくる一作です。第2回カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト応募中、火・金更新中です。