書く理由が答えられなくなったとき、それでも手が止まらない人間の話語り手の静かな日常から始まり、読み進めるほどじわじわと何かが積み重なっていきます。ある場面で起きたことと、語り手が受け取った「結果」のあいだに、静かなずれ。そのずれが作品全体に奇妙な厚みを与えていて、読後もしばらく頭の中に居座る感じです。書く理由も、届いたかどうかも分からないまま、それでも書いてしまう——そういう感覚を知っている人には、刺さる作品です。