振動する小部屋のまんなかで


 作:北見悠平


 振動する小部屋のまんなかで

 宙に浮かんだ林檎を撫でる

 ひとりでに鳴りだす音の震えに

 鮮やかな色の名残を見る


 白い空の黒い星たちが転がって

 時間で織られたマフラーを畳んでいく

 揺らめいて煌めいて

 零れ落ちるたくさんの出来事を知る


 遠く高く沈む

 すっかり膨らんだネオンテトラ

 ありふれた約束と別れの声に

 止まない雨の残響を聴く


 振動する小部屋のまんなかで

 青く光った言葉を食べる

 断ったはずの誘いが嵩張って

 ひどく窮屈な影が差す


 しらばっくれていた

 ふとした偶然に潜む種

 輝くキャラメルエッジがやってきて

 光が溢れる

 今ここを綴じた蓋を破る


 速く強く滲む

 ゆっくり塞がったピアスホール

 くだらない感傷を弄んでは

 解けない謎の残骸を飲む


 振動する小部屋のまんなかで

 詩にもならない夜風を思う

 静謐が壁伝いに流れ落ちて

 今日もどこかで人が死ぬ

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