トトの四歳の誕生日は、空爆によってすべてを奪われた日となった。
家族はどうなったのかわからず、父親の仕事場だった工場へ行くも、既に壊れていた。トトはそこで、母を思わせる像を見つける。
世界は、あまりにも残酷だ。
皆が暮らす家も、大切な人も、あっさりと奪われてしまう。そんなことが人間の手で行われているのだから。
何が起こったのかわからなかったトトが、時の流れとともに事実に気づき、心が沈んでいく。読んでいるだけで、こちらも辛くなってくる。
最後に起こった出来事は、偶然だったのか、奇跡だったのか。
残酷な世界に小さな光を灯す物語、ぜひお読みいただきたい。
トトの四歳の誕生日。
家族での団らん、そしてお祈り。
空へと昇るお祝い花火の音が聞こえる。
でも、それは命の咲き落ちる刹那だった。
無垢なる大地へと突き刺さった振動と暴力の風が日常を灰色へと染め変え、反転する。
変わり果てた足元の空白から空を見上げ、昇って来た月明かりの中に見つけた父親の仕事場の工場。奥まった一角に見つけたブロンズの女性像。
トトを守るその像に、在りし日の思いとともに胸が締め付けられる。
悲しい現実を背中で受け止めて、
家族への思いを胸の中に抱いて、
瓦礫の中で佇む世界に、瞳の奥と心とを揺さぶられる物語です。
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絵本的な優しい筆致だからこそ、「世界で起こっていること」の残酷さが際立ちます。
トトはある日、「花火」のような大きな音を聞いた。
何が起こっているかはわからない。けれど、慌てた両親と共に避難することになり、崩壊した町の中を進んでいくことに。
彼らの日常に崩壊したものはなんなのか。
もちろん、ただ花火が上がったわけではない。強烈な爆音。そして破壊されていく建物と、人々の平穏。
こうした出来事は、今も世界のどこかで確実に起こっていて、同じように葛藤する人々もいれば、トトのように正確に把握できず「なぜかみんなが慌て、恐怖し、悲しんでいる」ということを不思議がっているかもしれない。
そんなトトがやがて理解する「現実」の厳しさ。
必死に彼を守ろうとする家族。それでも更に襲い来る非情な出来事。
奇跡などないのかもしれない。そこには無機質な事実だけがあり、優しさなど存在しないのかもしれない。
それでも、彼の身に起こる一つの「偶然」。そこに何かの意味を見出せそうになることで、絶望の中に「あたたかさ」が漂うようにも感じられました。
「平和への祈り」。そんな言葉を思い浮かべずにいられない、心に沁みる物語でした。
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主人公トトの幼い認識を通して戦争の理不尽さを描いているのがなんとも切ない。かわいそうな戦争孤児の話で終わらせてはいけない話。
「花火だ!」から無邪気に始まり「……あれは、花火じゃなかったんだね、お母さん」に至る流れは何とも切ない。
四歳の少年トトの目線だけで綴られるからこそ、失われた日常の尊さと残酷さが浮き彫りになる。
家族を失った現実を理解しきれない幼い心、お母さんの代わりとなるブロンズ像への切実な愛着、そしてラストの像が本当に母親のようにトトを守る場面。
静かな文章でありながら読後の衝撃は大きく戦争が奪うものの重さを感じずにはいられない、なかなかこの国ではきちんと報道されないけれど、今世界中で起きていることに思いを馳せる必要がある、そんなことを思わされた。
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