千花の推理は毎回盛大に外れているのに、観察眼だけは異様に鋭い。そのアンバランスさがとにかく面白いです。
一方で、冷静な警視・真尋との掛け合いは抜群です。
ツッコミとボケの応酬だけでも笑えるのに、その裏で「誰のために死体は転がるのか」という不穏な縦軸がじわじわと存在感を増していきます。
プロローグでは一気にサスペンスへ引き込み、第1話では「その恨みは本物ですか?」という強烈な問いで読者の心を掴み、第2話・第3話では一転して幼少期から現在までの二人の関係性を丁寧に描く。
この緩急がとても上手く、笑っていたはずなのに、いつの間にか大きな事件の予感に包まれていました。
特に千花というヒロインが魅力的です。 迷探偵なのに憎めない。
推理は飛躍するのに、誰も見ていない違和感だけは必ず拾う。
その個性が唯一無二で、「この子が事件に出会ったらどうなるんだろう」と続きを読みたくなります。
そして、そんな千花を呆れながらも見守り続ける真尋との関係も最高でした。
幼馴染ならではの空気感や軽妙な会話が心地よく、二人の掛け合いだけでもずっと読んでいられます。
コメディを楽しみたい人にも、本格ミステリーが好きな人にもおすすめできる作品だと思います。
この先、「迷探偵」の千花がどんな事件に巻き込まれ、真尋がどんな真実に辿り着くのか、とても楽しみにしています。