冒頭の「襲いかかられて、」からして、受動から入る(すなわち知覚が地平に落ちていくようにフィットする身体をこう描写するのかと思いつつ)宇宙人が、地球に降り立って初めて、想像だにしない食べ物に出会う話。
単に記してしまえば上記の通りなのだけれども、作用しなかった「効力」によって地球に留まることになった主人公が、その運命が、食を渇望(それを欲した、という体験自体も彼女にとって初めて刻まれた思いなのだろう、その記憶)し、愛をうけ、感情が芽生え、といった「あるべきなにか」が欠けているなかで、必死でそれを掬いとっていく流れに、ただ心を震わされる。
ずっと食べかったんだ。でもそれすらも知らなかったんだ。なんで? 縛られていたから? 誰か教えて。つくりたい。つくらせて。たべたい。
地球言語(もっと言うと日本語)での「いただきます」を、彼女(ら)が覚えた時、普段の食事の見えざるつくり手に感謝せずにはいられないことの幸福をどうか、あなたにも。三年連続での企画へのご参加ありがとうございました!