「人それぞれ」という言葉があまり好きではない主人公。でも、全否定しているわけではなくて、その言葉が問題となるのはこういう時なんだと、自分の考えをしっかりと語っているのが良いなと思いました。
主人公や榊の感じ方に触れることができる作品。そして、それを通して自分自身や自分の周辺を改めて見つめ直したり、人によっては自分の感じ方を更新や拡張したりできる作品なのではないかと思います。
細かいところまで行き届いている「語り」が心地よかったです。伝えたい感じ方がなるべく正確に読者に伝わるよう、「○○ではなくて✕✕」、「相反する感情は同時に存在できる」等、取りこぼしのないよう丁寧に、的確に言語化されていると思いました。それでいて説明臭くなく、意見書でもなく、きちんと物語でした。作中作、本作、そして現実世界と、メタ的に繋がっているのも印象的でした。
具体的にどんな思想や主張が描かれているのか。それは作中にて丁寧に提示されていますので、未読の方には実際に読んで、感じて、考えてほしいなと思います。殺人事件にしてしまわないように。
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