プロローグ「Orphan File」の一文「この世界は、未来を諦めた」が全てを語る。
暴走した創造物たちによって人類が"未来を作ること"を恐れるようになった世界——その世界の底で、銀髪のサイボーグ少女との別れを記憶に抱きながら目覚める赤毛の少年アトリ。「涙が左目だけ」という一行だけで少女が機械と人間の狭間にある存在であることを伝える書き方が鋭い。
第1話ではアトリが軍の地下施設を脱走するアクションが展開される。頭の中に住む謎の声「シルバー」の指示に従い走りながら、「ぼくは人間なのか?」と自問する場面の緊張感がたまらない。身体が勝手に動く。記憶がない。自分が何者かわからない——そのまま雪の中に飛び出すラストが完璧な引きになっている。
「創造」と「違法」が矛盾なく共存する世界設定の骨格が、すでにプロローグと第1話だけで見えてくる。