人造人間との最終戦争で文明が崩壊した世界。
新政府の支配が広がる中、魔女・学者・殺し屋の三勢力が均衡を保つ無法者の街――盗人街だけは独立を守り続けていた。
その絶妙な均衡を、ひとりの少女が壊す。
彼女が持ち込んだのは、ただの“ちいさな女神像”。
だがそれは、街の支配者たちを動かし、新政府軍を侵攻へと駆り立て、誰も知らなかった過去を呼び覚ます禁忌の遺物だった。
少女が像を売ろうとした瞬間から、盗人街の滅亡は始まる。
終焉まで残り24時間。
崩れゆく街で交錯する12人の運命が、近未来ディストピアの緊張感とアクションの疾走感を伴って描かれる群像劇は、まるで時限爆弾のように読み手を追い立てる。
新政府すら踏み込めなかった街の終わりは、一人の少女から静かに、そして確実に始まる。
本作は、世界が終焉へと向かっていく圧倒的な緊張感を持つ、スリリングな一作となっております。
最初からクライマックスで、手に汗握る展開がつづきます。
作者様の手腕は、説明を排した余白による感情の表現が巧妙で、可読性の高さと感情移入のための心の機微を上手く両立する筆力を拝見できます。
また、多種多様なキャラクターたちの運命と禁忌の遺物が複雑に絡み合うサスペンス的な構成も見事で、エンターテイメントとして成立しているのも魅力です。
禁忌の女神像が引き起こす24時間のカウントダウンを軸に、交錯する12人の運命と緊迫感を圧倒的な筆致で描き出す本作、ぜひおすすめいたします。