第27話 こんなことは許されない
国家に7人しかいない聖女の一人、聖カロミア・ブランシャールは見た。
自らの想い人が、自らの親友と一緒に、丸太に縛り付けられている姿を。
カロミアの心に火がついた。
許されない。
こんなことは許されない。
絶対にあってはならない。
「エゼル君が……マーシャと一緒に……縛られて悦んでる!」
カロミアは馬にムチを入れる。
馬がいなないた。
そうだ。
私は今これを持っている。
これがあれば……!
カロミアはあらん限りの力を振り絞って叫んだ。
「エゼルくーーーん! ムチがあるよーーーっ! 叩いてあげるよーーー!」
「あほかーーーーっ! いいから助けてくれぇ!」
エゼルが叫び返してきた。
ん?
確かに、よく見ると縛られているのはエゼルとマーシャだけではなく、フェリスも一緒だった。
3P!?
いや、おかしい。
SMプレイをしていたとしても、3人で縛られているってのは普通じゃない。
そんな3P、聞いたことがない。
少し冷静になってよく見てみると、丸太の周りには魔族がいるようだった。
エゼルがマゾプレイしているのに激昂してしまって気が付かなかった。
「……え、なにこれ!」
数十はいる魔族の中でも、ひときわ大きい人型の竜が大きな槍を構えて言った。
「聖女だ! こんなに早く来るとは……! おい待て! こいつらがどうなってもいいのか!」
すると、数匹の魔族――
「聖女よ! 馬から降りてそこから動くな! 一歩でも動いたら……こいつらを殺す!」
「な……なにこれ……?」
だがカロミアも数々の死地を乗り越えてきた聖女である。
すぐに状況を飲み込んだ。
言われた通りにいったん馬から降りる。
ひときわ大きい人型ドラゴンの魔族――そのオーラから見て、間違いなく魔将軍クラス――が言った。
「動くなよ! ……その手に持った武器を捨てろ!」
「武器……? あ、これか」
カロミアはムチを地面に放り投げた。
そのまま両手を上げる。
カロミアと魔将軍はにらみ合った。
お互いに相手の動きを注意深く観察している。
――おかしい。
カロミアは思った。
エゼル君と、マーシャ。この二人が縛られたまま、なんの抵抗もしていない。
この二人なら、こんな緊縛、すぐに脱出できるはずだよ。
でも、なんで縛られたままなの……?
カロミアは脳みそを駆動する。
考えるんだ。
なぜエゼル君は変身してないの?
そして、一つの答えにたどり着いた。
「これは……わざと縛らせて楽しんでいるんだね!」
「ちがーう! 俺たち毒にやられてるんだ!」
エゼルが叫ぶのと、魔将軍が槍を構えてカロミアに突っ込んでくるのとは同時だった。
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