「姉の顔が好きだ」という一文から始まりながら、それが恋愛でも性欲でもない、しかしそれだけでは説明できない感情として描かれる導入の緊張感が秀逸だ。
千堂姉妹の関係性は最初から対等ではなく、支配したい姉・理桜と、抗いながらも完全には拒めない妹・美悠という非対称な力学が物語全体を貫いている。「赦して、とは口が裂けても言えなかった」という一文に滲む矛盾不快感と生理的嫌悪が確かにありながら、それだけでは終わらない複雑な感情を抱える美悠の心理描写が、単なる背徳百合に留まらない読み応えを生んでいる。
連載中・全4話とまだ短いが、章タイトルが「姉妹という言葉」「姉と道徳」「姉妹と支配」と進むごとに関係性の歪みが深まっていく構成は緊張感を保ったまま読ませる。罪悪感と背徳感を真正面から描く姉妹百合として、覚悟して読みたい一作だ。