本作を読んでまず驚いたのは、科学用語そのものが感情表現として機能していることでした。
概日リズム、月光、蛍光、ルシフェラーゼ、量子、波長――本来なら難しく感じるはずの言葉たちが、この作品では主人公の憧れや孤独、喜びや苦しさを映し出す「詩」になっています。
特に各務美月と主人公のやり取りは印象的でした。
研究の話をしているはずなのに、いつの間にか人生観や価値観のぶつかり合いになっていて、会話そのものに強い魅力があります。
また、随所に散りばめられた言葉遊びや比喩表現も独創的で、一文一文を味わいながら読みたくなる作品でした。
SFでありながら詩のようでもあり、研究物語でありながら人間ドラマでもある。
他ではなかなか出会えない独特の世界観を持った作品だと思います。
今後どのような物語が紡がれていくのか、楽しみにしています。