100年の眠りから目覚めた少女が辿り着いたのは、地上ではなく、閉ざされた地下施設。
近未来のディストピアとしての不穏さはありながら、この物語の魅力は、りつかとNo.66――ロムの距離が少しずつ変わっていくところにある気がします。
ロムは感情がないように見えて、実際には知らないことが多すぎるだけなのかもしれない。
女の子への接し方も、物語の読み方も、人との距離の取り方も、ひとつずつ覚えていく姿が不器用で、妙に目が離せません。
一方で、りつかもまた、番号で呼ばれる世界の中で、自分の名前や過去の記憶を必死に手放さずにいる。
「りつか」と呼ばれる場面や、ロムに「ロム」という呼び名を与える場面は、この作品らしい温度があって印象に残りました。
冷たい地下施設の話なのに、読後には少しあたたかさが残る作品です。
ふたりがこの場所で、どんなふうに心を近づけていくのか、これからも見守りたくなります。
おすすめですよ。
第1話「最悪な目覚め」の冒頭が秀逸だ。
「寒い」「息苦しい」——状況説明をいっさい排して、肉体的な感覚だけで目覚めの混乱を描く書き出しに、一気に引き込まれた。酸素カプセルのような筒の中に閉じ込められ、柔らかすぎる自動音声「おはようございます」の不気味な場違い感。明るい紹介動画と空虚な内容のギャップ。説明を最小限にしながら、読者にも主人公と同じ「拭えない違和感」を丁寧に積み上げていく構成がうまい。
そしてラストに現れるNo.66——全身黒、感情ゼロの瞳で「お前は今日、長い眠りから目覚めた」と告げる少年の登場は、静かでありながら強烈な印象を残す。
感情を持たない少年と、感情を剥き出しにして混乱する少女の対比が、この物語の核心を端的に示している。地下施設という密室で、二つの孤独がどう交わるのか——続きが読みたくなること間違いなし。
第1話の冒頭、状況説明を一切せずに「寒い」「息苦しい」という肉体的感覚だけで読者を主人公の混乱に引き込む手法が秀逸でした。酸素カプセルのような筒の中で目覚める恐怖、自動音声の「おはようございます」という場違いな柔らかさとの対比が、施設の不気味な無機質さを効果的に演出しています。
「統合支援AI」による説明的すぎない世界観の提示や、紹介動画の「明るい音楽と笑顔だけが、不気味に頭に残る」という一文も印象的です。安心させようとする言葉と、説明になっていない空虚な内容のギャップが、読者にも主人公と同じ拭えない違和感を残す巧みな仕掛けになっていました。
そして登場するNo.66――感情の読めない瞳、抑揚のない声、「お前は、今日、長い眠りから目覚めた」という最低限の言葉だけを発する造形は、レビューにある「あたりまえが通じない」「どこか空っぽ」という評にそのまま当てはまります。人間味の薄い少年とパニック状態のりつかという対比が、これから少しずつ心を通わせていく過程への期待を高めてくれました。
「No.100」という識別番号で呼ばれる存在として目覚めたりつかの状況は、名前を奪われた存在として描かれており、概要にある「空っぽの少年に、私は名前をつけた」という言葉が暗示する、彼女からロムへの一方的な贈与――関係性の出発点としてうまく機能する仕掛けになっていると感じました。
すでに12話・2.6万字まで進み、レビューで「百年後の廃墟で、心が目覚める」と評されているように、閉ざされた施設の謎と、二人の関係の変化を同時に追わせる構成は、読み応えのあるディストピアSFとして期待が持てる導入でした。
見知らぬ場所で目覚めた少女・りつか
そばには「No.66」と名乗る少年がいた
少年は、りつかに
「お前の識別番号は、No.100だ」
と告げる
そこは閉ざされた地下施設「アンダーグラウンド・ゼロ」
りつかは、たったいま、ひとりきりで、長い長い眠りから目覚めたのだ
自分の名前すら持たない少年は、どうやらりつかの世話係のようなものらしい
しかし、この少年、りつかの常識から、ことごとくかけはなれていて
あたりまえが通じない
出ることのできない小さな部屋
訪れる少年と、はたしてりつかは心を通じ合わせることができるのか?
そして、まだ外に出てはいけないと言われるこの部屋の向こうには
いったいどんな世界が広がっているのか――?
りつかと少年の、かみ合わないやりとりが、もどかしくもおかしい
そして、少しずつわかりあうようすは微笑ましく、希望がもてる
タグには「ディストピア」
しかし、このふたりなら、その先で、光をつかむのではないかと期待できる
なぞに包まれた世界、少女は少年とともに、手探りで歩き出す
物語はまだ序盤
ぜひ、いまから追いかけてみてください