まず大前提として俺はラブコメというジャンルが嫌いだった。ご都合主義がどうとか仲の良さがどうとかではない、ラブコメの中の主人公は大なり小なりキラキラしている。ある程度卑屈よりで周囲から快く思われていないという設定の主人公だって中身は結局善人であり物語の主人公になる器の持ち主である。俺は完全に卑屈だ。深く関わってくれれば仲良くできるなどというものでもない完全なそれこそモブ以下の描写されず切り捨てられる側だ。そんな俺がキラキラなラブコメを見ると拒否反応を起こすのだ。あまりにも眩しい理想。創作物の中の主人公とはいえ自らと同化させることはできない俺はただ己の現実と比較して絶望するだけ。だからといって変わろうとすることもないから自業自得なのだが。
今作の主人公もタイトルの通り自らを最初は卑下している。自分はモブであると、過去を鑑みればそう考える理由だって納得のいくものではあるのだが、やはりどんどん幸せになる。奇跡の出会いがありそのチャンスを見事掴み、基本的なラブコメから外すラブコメとしては王道寄りの展開を歩んでいると思う。中身に触れたのでついでに語るが、この作品はメタ視点を含めた一人語りがあるという点が個性的で面白い。それでいて文章も分かりづらいという点もなく読みやすい。青春を知らない人が何を言うのかという感じだがあからさまにおかしい作られたものというよりはしっかり自然体の人間関係に見える。正直に言って普通の面白いラブコメを期待して読んでも時間を無駄にするものではないだろう。
ただここからが本題である。先ほどメタ視点の一人語りと言ったが、実はこの作品の主人公の設定は作者そのままにしているらしい。元々の顔のバランスが良いという設定などもあるが、ネタバレのためあまり言えないがそれこそ王道キラキラ系という設定ではないため、この物語を作者の妄想であると捉えることができる。これは俺のようなキラキラ成分を摂取するとぶっ倒れる人にはありがたいものである。決して貶す意図があるわけではないのだが、一人のキラキラしているというわけではない人間の欲望に浸かっている、作品の理想の世界とのギャップを中和してくれる、これが俺が現在投稿されている全話を読み終える事が出来た理由である。何も変わらない自分を何か変えてくれるきっかけが突然訪れるという現実離れしたことが起きないかと日本のどこかで同じように考えている人がいる。そうやって精神を落ち着かせながら人生で味わえることもない青春キラキラをなんとなく摂取する。そんな楽しみ方しかできない同族の方にもおすすめです。後映画とかどうですか。遊園地とか水族館とか、まだ、デートスポットは尽きてないはず。見たいです。