「地下アイドル」という題材をここまで鋭利に、“社会構造そのもの”として描いた作品を初めて読みました。
本作が凄まじいのは、ただ過激さや退廃を描いているのではなく、アイドル、ファン、運営、労働、消費、承認欲求――そのすべてを「熱」「建材」「構造」「減価償却」といった工学・資本の言語で統一し、人間そのものを巨大なシステムの中の部品として描き切っているところです。
特に印象的だったのは、“サランラップ越しの一分五万円”という狂気的な設定。
けれど読み進めるほど、それが単なる悪趣味ではなく、「人は何を消費し、何に救われ、何を失っているのか」という恐ろしい問いへ変わっていきます。
リンも、ファンAも、ただの被害者でも加害者でもない。
互いに互いを必要としながら、同時に削り合っている。
その歪な熱交換の描写があまりにも生々しく、読んでいて何度も息を呑みました。
そして何より、この作者様は“文章そのもの”が強い。
比喩が単なる装飾ではなく、作品世界の骨格になっているため、読み手は物語を読むというより、「巨大な社会の断面図」を覗き込まされる感覚になります。
読み進めるほどに、タイトルの、そして世界の意味が変貌していく恐怖と快感。
これは単なる地下アイドル小説ではなく、現代そのものを解体して見せるための、
冷たく、美しく、危険な文学だと思いました。
私では絶対に描けない感性に、脱帽です。