「息を吸った瞬間、体が拒絶した」——冒頭の一文から、異界の異質さを一切の説明抜きに、ただ肉体の生理反応だけで叩きつけてくる筆力に圧倒されました。脈動する臓器の壁、皮膚を灼く粘液、嘔吐物を吸い込む地面。視覚以前に嗅覚と触覚と平衡感覚が犯されていく描写が生々しく、読んでいるこちらの喉まで酸っぱくなるようです。
そして交差点の日常へ唐突に引き戻される構成が見事。「行って、戻ってきた」という往還は、転生ものの定型を静かに裏切り、逃れられない再訪の予感で幕を閉じます。異世界を「理解する対象」ではなく「身体が拒絶する未知」として描く、覚悟のあるファーストコンタクトSFだと思いました。続きが気になります。