ナポレオンは猜疑心が強くなかなか腹の裡を見せる男ではなかったと伝わるが、ルイ・シャルル・アントワーヌ・ドゼーに限ってはそうではない。ドゼーは軍人として有能なだけでなく、作中にもあるように「正義のスルタン」と渾名されるほど占領統治も公正で人徳に溢れていた。ナポレオンはそんな彼を生涯の親友と呼び全幅の信頼を置いていたようである。
ドゼーがナポレオンのような傲岸不遜な人物をなぜ友としたのか。本作はその点をエジプト遠征からドゼー最後の戦闘であるマレンゴの戦いまでを描くことで浮き彫りにする作品である。彼がナポレオンに何故惹かれたのか、それゆえにどのように行動したのか、説得力のある解釈で著わされている。彼の献身でナポレオンは至高の座に昇ったが、彼を失ったことがナポレオンの後半生に大きく響いたともいわれる。そんな無二の存在ドゼーとナポレオンの友情をぜひご覧いただきたい。
ナポレオン最後の戦いを描いた映画『ワーテルロー』。戦いの終盤、英軍とプロシア軍の二面攻撃を受ける絶体絶命の状況で、ナポレオンは狼狽する部下を叱咤します――マレンゴでもこんなことがあった、五時には負けていたが七時には逆転した、と。
古今東西、さまざまな歴史上の人物や出来事を取り上げて、読み応えのある歴史小説を生み出されている四谷軒氏。今回の題材は、英雄ナポレオンの友人として知られるドゼー将軍です。
しかしこのドゼー将軍、ごく短期間しかナポレオンと関わらなかったため、「ナポレオン関係者」の中では比較的知名度が低く(※個人の感想です)、友人としてはランヌより、部下としてはネイやダヴー、マッセナなどよりも知られていない存在です。
そんなドゼーですが、ナポレオンの考えを理解できる数少ない人物のひとりであり、ナポレオンが窮地に陥ったエジプト遠征でも、そしてマレンゴの戦いでも、ドゼーは友人を支え、助けることになります。
マレンゴの戦いでは、ドゼーは戦場の砲声を耳にするや、命令を無視して救援に駆け付け、敗北寸前だった友人を勝利に導きます。一方、彼のいないワーテルローの戦いでは、別動隊を率いていた部下は砲声を聞いても当初の命令を墨守して戦場に駆け付けず、皇帝を敗北に追いやります。
本作を読んで、ナポレオンに真に必要だったのは、部下よりも友人、それもナポレオンの考えを誰よりも理解している真の友人だったのではないかと考えさせられました。私にそんな思いを抱かせた歴史作品、是非お読みください!
世界史に詳しくない私は、恥ずかしながらこの作品でドゼーのことを知りました。
傲慢だけれど戦いの天才であるナポレオンと、真面目で公正なドゼー。
性格は正反対なものの――いえ、だからこそ惹かれ合いお互いを評価してもいる二人の姿ややりとりに、笑みがこぼれます。
「ドゼーはそれに惹かれている自分を感じた。
惹かれていることに幸せを感じていた」
だなんて、実に痺れる一節ではありませんか!
クライマックスとラストの一文にも胸を打たれました。史実を知らなかったのでなおさら……。
ブロマンス好きにもぜひおすすめしたい、短いながら濃密な歴史小説です!
ナポレオンのエジプト遠征からイタリア戦線、そしてマレンゴの戦いへ――
本作は、歴史の奔流の中で交錯する二人の男の絆を濃密に描いた戦記ドラマです 🌍⚔️
ナポレオンは天才的な戦略眼と大胆な行動力で、次々と戦局を切り開いていく。
その傍らには、常に冷静で誠実な将軍ドゼーがいた。
彼はナポレオンを嫌いながらも、同時に深く惹かれ、理解し、支え続ける存在でした 🤝🔥
ピラミッドの戦い、アブキール会戦では、ドゼーの高潔な統治と戦場での的確な判断が光り、ナポレオンはその才を誰よりも信頼していく。
二人の距離が縮まる描写は、戦記でありながら人間ドラマとしても胸を打ちます 🌟🛡️
そして迎えるマレンゴの戦い。
劣勢のフランス軍を救ったのは、夕暮れの戦場へ駆けつけたドゼーの “奇跡の中央突破” ―― 💔🌙
戦場の迫力、政治の駆け引き、そして二人の絆。
歴史好きにも、人物ドラマ好きにも刺さる濃厚な作品でした 📘🔥