おそらく本作は寓話である。
描かれるのは、空と砂。
それだけに削ぎ落として表された世界。
その狭間を、とかげは跛行する。
愚直な有り様のように。
過酷な環境へと進む。
進むさなかに出会ったひばりは、とかげへ語りかける。仲間になれと誘う。
仲間や酒、騒ぐことでの気晴らし。
ひばりの言葉は、人生の楽しいことや慰めを象徴しているのだろう。
だが、とかげは誘いを受けない。
〝僕はいい〟
そう言い残して、とかげは進む。
とかげは、自分の望みを知ってしまったから。
望みの在り処を見た瞬間に、とかげの行く末は決まってしまったから。
夢とは、すなわち呪いであると言う。
それを得てしまったら、もう逃れられない。
囚われ、強いられ、おそらく人生のすべてを差し出してしまう。
夢と呪いの違いは、命を使い尽くしてもそれで満足かどうか。
それだけだ。
本作は夢へ向かう物語である。
だが物語は暗示する。
読む者も理解する。
とかげの夢は叶わない。
夢の場所には、決してたどり着けない。
もしも、そう告げることができたとしても。
とかげは、きっとまた足を進めるだろう。
読む者は、進み行くとかげに憧れるのか、厭うのか、笑うのか、泣くのか。
本作は、言葉で言い表わせない気持ちの膨らむ、素晴らしい物語である。
一読されることを勧める。
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